第22回講演1抄録



白くて美しい歯で健康を!

 できるだけ歯を削ることなく審美性の高い治療を行うことは,歯科医師のみならず多くの国民が望んできたことです。かつては,実現が難しいと考えられていた歯を削ることなく白い歯を得るという治療法も,歯科医療技術の進歩によって現実のものとなりました。それは,生活歯のホワイトニングという手法です。歯を白くするホワイトニングという手法は,その安全性も確立され,副作用も少ない方法として世界的に行われています。従来までの歯科に対するイメージである,痛みを伴った治療とは異なる,とても身体に優しい治療法なのです。
 ホワイトニング方法には「ホーム・ホワイトニング」と「オフィス・ホワイトニング」があります。このうちホーム・ホワイトニングは,患者さん自信にトレーと薬剤を渡して行う方法です。歯や唇の粘膜組織にやさしい薬剤を使うため,最低でも2〜3週間程度の期間が必要ですが,現時点では最良の結果が得られる方法です。一方,オフィス・ホワイトニングは,通常の歯科治療と同じように診療用チェアーに座り,そして1時間程度で治療を複数回行うホワイトニング法です。日本では,このいずれかを選択して歯を白くするホワイトニング治療が行われています。
 健康であること,そして心豊かであることを望まぬ人はいないと思います。それは,衣食住と生活の安全が保障された人間が望む,ごく自然の欲求です。また,健康であることは,身体内面だけではなく,外観にも活動的なイメージを与えるものであり,これが相互に作用しあって生活の質(Quality of Life; QOL)の向上につながるものです。このような観点から,外観の印象を決める口元の美しさは,健康にとって欠かすことのできないものの一つと言えます。ここでは,歯を削ることなく白い歯を獲得することができるホワイトニング治療について,具体例を交えてお話します。