第10回講演1抄録


お口の症状は心の悩みから
 〜お口の中の原因不明の痛みは,心のストレスのためかもしれない〜

 人は恐ろしい目にあったとき,「怖くて口がからからに渇いた」とか,つらいとき「歯を食いしばって頑張った」など,口の機能を使って心の状態を表わす言葉が数多くあります。口の状態はある意味で心の状態を表していると考えられます。心理学の分野ではFreudという人の名前を多くの方が知っていると思います。彼は,「赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸うことにより,母と子の関係が強化され赤ちゃんの心は安定してゆく」と言っています。このように口は心との関連が強い器官であると考えられます。  近年,口腔内に原因が不明の疼痛,たとえば歯や歯茎,または舌などに痛みを訴えますが,痛みに見合う状態が見られない場合,また噛み合わせの異常感を幾度も訴えて来院する,などの患者さんが増加しています。これらの患者さんの多くは,心理的あるいは生活環境の中での過剰なストレスを持っています。過剰なストレスに対する対処法を見つけたり,安定剤や抗うつ剤などを服用すると症状が軽快してゆきます。ご自分がこのようなことに心当たりがあれば心療歯科と呼ばれる治療施設を受診して見てください。
公開講座へ戻る公開講座のページへ戻る