第12回講演2抄録



噛んで脳力アップ
 〜脳の健康を守る〜

 17世紀のフランスの哲学者であるデカルトは,350年ほど前に著作「方法序説」で"cogito ergo sum"(私は思う,ゆえに私はある)と述べていわゆる心身二元論を唱え,精神と身体は別々のものと考えられておりました。しかし,近代に入って心は心臓ではなく脳にあり,身体活動の中枢は脳であることが明らかになっております。
 20世紀の終わりには,アメリカを始め多くの国で,21世紀の生命科学の研究対象のひとつに脳を取り上げ,脳機能を知る,守る,創るという三つの方向から各国でアプローチが行われております。具体的なアプローチには,学習・記憶のメカニズムの解明,アルツハイマー病およびパーキンソン病などの治療,高度な人工知能を有するロボットの開発などが行われております。
 歯科医学における『噛む』ことについては,主に歯・口腔・顔面などで解明がすすんでおりますが,中枢の脳については極めて少ないのが現状であります。脳は,生命維持にとって大切な食物の摂取をコントロールしておりますので,噛むことと脳の健康との関連について知識を得ることは大切な事と思います。そこで,本公開講座では,以下の三つのことについて,お話しさせて頂きます。

  1. ヒト生体の脳機能の概略について:脳は,どこがどのように機能しているのか。
  2. ヒト生体の脳機能検査について:脳機能検査には,どのような方法があるのか。
  3. 『噛む』ことと脳の健康の関連について:脳は,噛むことによってどのように活性化するのか。

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