第14回講演1抄録



スポーツにおける歯の重要性
 〜正しい咬み合わせで記録をアップ!〜

 今から5年前に長野で開催されたオリンピックを始め,昨年6月に日韓共催で行われたサッカーのワールドカップなど,日本中がその勝敗に一喜一憂し,沸き返りました。また,今年の秋にはラグビーのワールドカップがオーストラリアで開催されます。このように日本のスポーツ選手が海外で活躍することで,世界のスポーツは身近になり,老若男女を問わず様々な形でスポーツに参加するようになりました。
 スポーツに参加する人口が増えるに伴い,一方ではスポーツ傷害も増えてきており,その対応策が十分講じられているとは言えないのが現状だと思われます。特に口腔内に対する関心は未だ薄く,過去にはボクシングに対するマウスピースが唯一認知されているだけでした。
 近年,咬むことと全身の健康や脳の活性化に関するいろいろな研究がなされ,その関連性が少しずつ明らかになってきました。歯科医が診療を行っている口腔は,顎顔面領域から独立して存在しているのではなく,他の器官と多様に関連しています。特に,咬み合わせは全身の状態に様々な影響を及ぼすことが知られており,スポーツにおいては身体のバランスを保つ上でも重要です。さらに,顎顔面領域には身体の中枢を司る脳があるため,受傷したときに致命的になる場合もあることから,予防的に守ることが必要です。
 そこで本講演では,スポーツをより楽しく安全に行うために,プレー中の顎や口腔内の傷害予防についてまず紹介します。口腔内の傷害予防には,現在マウスピースが使われており,ボクシングやK-1などの競技で選手が口の中に装着しているものとして知られています。しかし,マウスピースは格闘技以外にも応用価値があり,歯の破折や顎の骨折を未然に防ぐ目的で使用されることがあります。また,咬み合わせとスポーツ能力の向上についての面白い関係もお話しします。咬み合わせ如何では,運動能力の向上が図れることもありますが,一歩間違えると逆効果になることも多々あります。正しい知識を身につけ,スポーツで思いっきり汗をかこうではありませんか!

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