第15回講演1抄録



顎関節症って、なんだろう!
 〜口が開きにくかったり、音がするのはなぜ?〜

 今までに、口が開きにくかったり、口を開けるときに音がしたことはありませんか?
 顎関節症は虫歯、歯周疾患と共に歯科領域における三大疾患の一つと考えられています。最近では、学校検診にもその検査項目が導入されています。顎関節症の臨床症状は開口障害(口が開きにくい)、雑音(口を開けると音がする)、疼痛(口を開けると痛い)が主兆候と言われています。従来、顎関節症は咬合との関係が深いと言われていました。もちろん咬合が重要な因子であることに変わりはありませんが、最近は身体の他の関節と同様に整形外科的な疾患としても考えられてきています。
 顎関節の基本的構造は、他の関節とは著しく異なり、独特で複雑な動き方をします。そのため、機能状態のパターンは複雑で障害を生じやすいのです。このため、顎関節の機能や構造についてのくわしい知識をもって診断に当たらなければなりません。
 治療方法には理学療法、薬物療法、行動医学療法、保存的療法、外科的療法などがあります。現在、私の所属する歯科放射線科では、歯科用小照射野X線CT(3DX)で骨変化を、MRIで軟組織を検査しています。また、開口障害(口が開きにくい)や疼痛(口を開けると痛い)の強い患者さんには、顎関節造影検査、パンピングマニピュレーション、関節洗浄療法、関節鏡視検査、関節鏡視下剥離受動術などの治療を行っています。
 今回は、口が開きにくかったり、音がしたりする原因について、日本顎関節学会の症型分類に基づいて解説し、また、私たちが行っている検査方法と治療の術式などについてもお話ししたたいと思います。

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