第15回講演2抄録



日常生活のなかの顎関節症
 〜顎の病気とその治療法〜

 近年、顎関節の異常を主訴に来院する患者さんが増えています。その症状は、あごの痛み、顎関節部の雑音、口が十分開けにくいなどの開口障害や不快感など様々です。この疾患は約25〜30年ほど前から歯科医の研究会などで注目され、近年、頻繁に症例報告がされています。この点では新しい現代病と考えられます。
 なぜ顎関節症になるのかについて、様々な角度から研究されていますが、これが原因であると言える要因を特定するには至っていないのが現状です。顎関節症は多くの因子が複雑に絡み合って引き起こされているものと考えられています。代表的な要因として、噛み合わせ、あごの骨と関節、筋肉と歯(歯列)との不調和、いわゆる生活習慣病、精神的ストレスの問題が挙げられますが、他にも多数の要因が報告されています。  顎関節症の治療法も個々の歯科医師によって異なっており、様々な方法が用いられています。治療法としては、外科的な治療法、人工物を用いて噛み合わせを変える方法、歯並びを変える方法(矯正治療)、生活習慣を変える方法などがあります。
 口腔の果たす役割は、ただ物を噛むためだけではなく、様々な作業をしています。そのため、一旦顎関節症に罹ると、口腔の役割や運動を止めることができないことから、治療効果が上がりにくく、治療期間が長くなる傾向にあります。
 したがって、顎関節症にならないためにも、日常生活における予防、早期治療が大事です。このようなことを踏まえて、今回は、顎関節症の症状や治療法を中心にお話ししたいと考えています。

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