第17回講演1抄録



ここまで出来る入れ歯の治療
 〜アゴの骨の欠損や口蓋裂の機能改善に向けて〜

 腫瘍、外傷、先天奇形などが原因で手術を受けた後に顎の骨やその周囲組織の顔や頬に生じた欠損は外科的再建、つまり形成手術などで機能や顔貌を回復することが望ましいのですが、欠損の場所や手術の危険性などで、できない事があります。そんな時は補綴(ほてつ)装置、いわゆる入れ歯や人工的に作った顔の一部などで、補填修復し、失われた機能と形態の回復を図ります。このような処置を顎顔面補綴治療と言います。
 この治療を必要とする患者さんの入れ歯を作製する口腔内などの条件は悪く、顔面を含めた入れ歯を作製することに苦労しているのが現状です。基本的に口腔や顔面に欠損および機能障害をきたす病気は様々ですが、現状では悪性腫瘍に関するものがその大半を占めています。具体的な処置としては、欠損に基づく漏洩に因る発音障害、機能障害、審美障害に対する回復処置となります。また、500人に1人いると言われている口唇口蓋裂の患者さんに対する歯科治療も理解をして頂きたいと考えています。
 本講演では悪性腫瘍切除後の欠損に対する入れ歯ならびに口唇口蓋裂患者さんに対する補綴処置を中心に様々な補綴装置を説明し、さらに顔面や目の欠損に対する人工物など、少し特殊な歯科治療を紹介すると共に、これらの治療が患者さんの社会復帰の一助になればと願っています。
 日本大学歯学部付属歯科病院では顎顔面補綴科において、上記のような歯科治療を行っている事を知って頂き、我々がお役にたてる事を願っております。

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