第18回講演1抄録



歯にやさしい歯科治療
 〜このケースなら削りません〜

 一般に歯の治療は痛い、こわい、苦しいなどのイメージがあると言われています。虫歯の治療中に歯を削ると痛みを感じることが多いのは事実です。口の中に並んでいる歯は表面から内部に向かってエナメル質、象牙質、歯髄で構成されています。この3層のうち、エナメル質は削られても痛みを感じることはありません。しかし、その下の象牙質は削る、歯ブラシで磨く、空気や水が触れるなどの刺激によって痛みを感じます。さらに歯髄に至っては、何かが触れると飛び上がる程の激痛を感じます。そこで、虫歯が象牙質や歯髄まで達した歯の治療では麻酔が必要となり、この時の注射がまた痛みを伴うわけです。一方、軽度の虫歯の治療、歯の外形の修正、虫歯や歯周病の予防処置など、歯をほとんど削らないで済む処置もあります。
 そこで今回の講座では虫歯の治療、美容、審美を目的とした治療などに注目し、どのようなケースであればいかに歯を削らないで治療が可能かという実例をご紹介する予定です。歯の表面に付着した頑固な汚れは超音波や特殊な清掃器具で除去することができます(クリーニング、PMTC)。歯の色調を明るくすることも可能です(ホワイトニング、コーティング)。歯の形を改善する場合、あるいは歯と歯の間に隙間がある場合もほとんど歯を削らないで外形を構築することができます(ラミネートベニア)。さらに、歯が抜けた場合、ほとんど隣の歯を削らないで欠損部の形を回復する方法もあります(接着ブリッジ)。
 以上の技術はすべての方に適用できるわけではありませんが、どれもなるべく歯を削らないことを前提とした歯にやさしい歯科治療です。

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