あいさつ
ようこそ生理学講座へ
近年,歯科医師が取り扱う“痛み”は歯や歯周組織に関係するものだけでなく,顔面や頭頸部の痛みも含まれます。さらに,口腔顔面領域に起こる痛みは,原因の複雑性から様々な症状を引き起こし,歯科臨床において治療が困難な場合が多くみられます。特に,三叉神経損傷や舌痛症などによって引き起こされる異常な痛みに関しては,そのメカニズムが十分解明されておらず,非常に多くの患者が苦しんでいるのが現状です。私は大学院時代に神経科学分野の研究,特に口腔顔面領域の異常疼痛発症機構についての研究を始めました。大学院に入学してから現在まで20年が過ぎましたが,一貫して“口腔顔面領域の異常疼痛機構の解明”というテーマで研究を続けています。私の研究成果は基礎歯科医学への貢献にとどまらず,口腔顔面領域の異常な痛みに対するEvidence Based Medicineに基づいた治療法および治療薬の開発に繋がるものであると確信しており,今後も“口腔顔面領域の異常疼痛発症機構”をテーマとして研究に邁進していきます。
また、日本大学歯学部において『生理学』,『口腔生理学』,『生理学実習』および『口腔生理学実習』を担当するとともに,テュートリアル方式の『特別研究』と共用試験および歯科医師国家試験を視野に入れた『歯科学統合演習』を分担し、学部学生教育に力を注いでいます。生理学は“生命とは何か”を知ることであり,薬理学や病理学さらに臨床歯科医学を学ぶ上で,最も基本となる学問です。しかしながら,生理学は目に見えない事象を理解しなければならないうえ、臨床歯科医学を学んでいない低学年の段階で学修しなければならず、興味を失いがちな科目でもあります。よって、第一に“実際の歯科臨床の中で生理学の知識がどのように生かされているか?”を学生に理解させ、有能な歯科医師の育成に尽力します。 今後とも、よろしくお願いいたします。
日本大学歯学部生理学講座 主任教授
篠田雅路