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近年、高齢者の急増により歯周病の罹患者が増加し、歯の喪失のみならず、直接の死因となる呼吸器疾患、糖尿病や動脈硬化など全身疾患の誘因となることが明確となった。最近、歯周病患者はガンの発症率が高いとの疫学調査が報告された。しかし、歯周病の詳細な発症機序のみならず、全身疾患の誘発機序はほとんど解明されていない。私たちは、新たな視点から、歯周病原因菌により潜伏感染HIVやEBウイルスが再活性化する事を見出し、歯周病がウイルス感染症の発症と進行にも広く関わっている可能性を示した。
本プロジェクトは、疫学調査研究班、歯周病と難治性全身疾患発症機序を解析する基礎研究班及び臨床応用を目的とする予防・治療法開発班の3つの研究班から構成される。慢性炎症性疾患・歯周病の発症機序とそれを誘因とする難治性全身疾患の発症機序を分子生物及び免疫学的手法を用いて解明するとともに、本邦及び東南アジアにおいて疫学調査を実施する。これらの結果を基に、歯周病及び全身疾患の予防と治療法開発を目指し、真のtranslational research確立と医科学技術による国際貢献を目的とする。
大きく、ウイルス研究グループ、バイオフィルム研究グループ、免疫研究グループ、肥満・組織研究グループ
の4つのグループに分かれ研究を進めている。
総合大学としての日本大学の特色を生かし、歯学部を中心に、医学部、松戸歯学部及び生物資源科学部の4学部からなる共同研究体制を構築するとともに、他大学の歯学部、医学部、および獣医学部とも連携し研究を進めている。細菌学、ウイルス学、免疫学また、感染症内科学などの専門家が関与し、文字通り医歯両分野、更に獣医学が連携して実験を行っている。また、本邦での疫学調査は、厚生労働省科学研究費補助金エイズ対策研究事業、歯科研究HIV診療体制整備研究班の協力を得て実施している。更に、国際的視野をより推進するため、本領域の代表的研究機関として米国Alabama大学やNew York大学やラオスヘルスサイエンス大学と共同研究も進めている。
24年6月23日に戦略的基盤研究「口腔感染を誘因とする難治性全身疾患発症機序の解明と疫学調査拠点形成」の平成24年度 第1回研究成果報告会を開催しました。
23年11月19日に本事業主催シンポジウム「消化管と短鎖脂肪酸・腸内細菌叢と宿主のクロストーク」を開催しました。